webメディア「Culture ShockS」。メンバー3人それぞれコンテンツを担当する予定ですが、私(安村)が担当するのは「高慢と偏見 アフリカ編」。
『ブリジットジョーンズの日記』の元ネタにもなったという、古典恋愛小説『高慢と偏見』のパロディで、海外在住女性の葛藤物語を描きます。
「いいことも、悪いこともありますよ」
海外から帰国した人、海外に訪れたときに出会った日本人に、「この国での日々はどうですか?」と聞くと、たいていこう返ってくるなぁと思います。
ふと思い返すと、私もかつてしばらくいたトルコについて聞かると、こんなふうに答えているかもしれません。
はじめての土地での新しい生活や仕事は、当たり前にいいことも悪いこともあって。それをどう消化すればいいのかわからない。それにその土地にいたことがない人に、誤解なく理解してもらえるのだろうか。
そんな不安が、なんだか奥歯にものがはさまったような答えにつながっていたのだと思います。
ふとまわりを見まわすとこの不安は、駐在員同士の不毛な愚痴、渡航先での鬱、やけに過激なお土産話……そういう形になっていることもある気がします。
Salmonsのなかでも、私とカメルーンに住んでいたメンバーなやのあいだで、「そのカメルーン観は偏ってるんじゃないの?」「住んだことがある人にしかわからないことがあるんだよ」と、しばらく話が平行線になった時期がありました。
彼女が帰国したあと冷静に話すようになって思うのは、私も私で偏っていたかもなぁということです。
「自分がいた土地を良く言わなければいけない。そこにいた自分を否定しないためにも」というプレッシャーを知らず知らずのうちに抱えていたようです。
今までの常識とは違うものに触れたときの戸惑いややりにくさ、慣れない生活での疲労、せっかくここまできたのだからという気負いやプレッシャー。
そういう自分の内面の揺れと向き合って、海外での経験をフラットに捉えるのはとても難しいことなのだろうなと思います。
そんなことをぐるぐる考えていたときに見たのが、NHK Eテレの「100分de名著」の『高慢と偏見』特集。
200年以上も前のイギリスの作品ですが、さすが名著、ヒロインはじめ登場人物たちの「虚栄心」や「偏見」から起こる認識の歪みや恋のすれ違いは、今でもありそうなとても普遍的な話でした。
そして本人たちが気付かないその歪みや人間模様は、読者には滑稽にうつる……それはきっと元祖ラブコメで、恋愛やら結婚やらに悩む多くの人たちを楽しませ、心を軽くしてきたのだと思います。
異文化のなかにいる人たちのなかにも、同じような高慢と偏見がありそうだなと思いました。
このストーリーをヒントにすれば、「いいことも悪いこともありましたよ」ともやもやしなくてもいいかもしれない。
自分のなかにある「海外でやっていくぞ」というプレッシャーや「日本からはるばる来ました」という虚栄心みたいなものと、肩の力を抜いて向き合えるかも。
ということで思いついたのがこの「高慢と偏見 アフリカ編」。
小説で描かれる人間模様のパロディで、自分のカルチャーショックを消化して笑い飛ばせるようなストーリー&解説をするコンテンツをめざします!
ゆきこ
0コメント